swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

新卒面接のトラップ質問が、やっぱり理解できない

少し前に、こちらの記事を読みました。

 

otonanswer.jp

 

読んでからずっと考えていたのですが、どうにも書いてあることが理解できなかったので、ちょっと整理までに。ブログでマウントっぽいネガティブな記事は書かないと決めているのですが、どうしても気になったので、失礼します。その手の記事を見るのは不快という方は、この段階で離脱いただければと思います。

 

     *

 

まず、記事の冒頭にこうあります。

 

新卒の採用面接でとてもよくなされるのが「うちで何がしたいですか」という質問です。この極めてポピュラーな質問が、実はトラップ質問(ひっかけ問題)だと言えば皆さんは驚きますか?

 

驚きですよね。トラップ質問とはなんでしょうか? 学生を罠にかけてなにがしたいのかなと思います。自分が新卒採用で内定を手にできなかった僻みが多分に含まれている気がしなくもないですが。

なぜトラップなのかというと、こんな感じだそうです。

 

このような質問に対しては、普通に、素直に考えれば、具体的に「ここの部署でこんな仕事をやってみたいです」と答えるでしょう。

(中略)

ところが、実際にいろいろな会社での人物評価を見ていて気付いたのは、実は「具体的にやりたい仕事を答えるのがよい」「曖昧な回答はマイナス」という“常識”とは、「逆」であることも多々あるということです。あまりにも具体的にやりたいことを主張してしまうと、あまり良い印象を与えないことがあるのです。

(中略)

それは、日本企業の多くが職種を限定しない採用、いわゆる「メンバーシップ型採用」と呼ばれる「仲間探し」のような採用を行っており、仕事について、時々に応じて振られた役割を柔軟にこなしてもらうことを期待しているからです。

そんなときに、「ぼくはこの仕事しかしたくありません」とやりたい仕事を強く主張する人がいると「協調性に欠ける」「役割意識が低い」「貢献欲求が低い」などと思われてしまうのです。「あいつは仕事を選ぶやつだ」というのは、日本企業の多くではネガティブな評価の言葉です。

 

「うちで何がしたいですか」と聞かれたら、記事中にもありますが、誰でも「これがやりたいです」と答えると思うんです。「何が?」と聞かれているわけですから、それに対して「なんでもやります」では、答えになっていませんし。

そもそも「仲間探し」をしたいなら、最初から「うちは時々に応じて振られた役割を柔軟にこなしてほしいから、いろんな仕事をしてもらいたいんだけど、それは大丈夫?」と聞けばいいと思うんです。「うちで何がしたいですか」という質問で「仲間探し」をするのは、単に面接官・採用企業側の準備不足・ヒアリング力不足ではないかなと。

あと「ここの部署でこんな仕事をやってみたいです」を「ぼくはこの仕事しかしたくありません」と捉えるのも、拡大解釈だと思います。「強く主張する人」に限り、そう判断しているのかもしれませんが。

 

     *

 

あるいは質問の裏の意図まで汲み取ってこそ面接という理屈なのかもしれません。

ただ、さすがにこの丸投げは乱暴ではないかなと感じます。

仕事で質問の意図が相手に伝わらなかった場合、その責任は汲み取れなかった相手ではなく、伝え方を誤った自分にあります。また今回の場合、表向きの質問と裏の意図のあいだには明らかに乖離があるので、汲み取るほうが無理でしょう。先述ですが、汲み取るには、質問の答えになっていない答え(=なんでもやります)を返さなければなりません。

 

次の2つのケースを考えてみましょう。

  1. 「うちで何がしたいですか」→「ここの部署でこんな仕事をやってみたいです」→「その部署、もう斜陽なんだよね」
  2. 「うちで何がしたいですか」→「ここの部署でこんな仕事をやってみたいです」→「この子は、協調性がないな」

1は、学生側が面接官・会社側の意図を汲み取り損ねたケースですね。中途のように職種別採用だと心配ないですが、総合職採用だと会社がどの事業に力を入れていくのか、どこを絞るのかは見極めなければいけません。今後の成長が見込めない事業に取り組みたい学生は、やがて消える部署に期待しているわけですから、採用は難しいですね。

一方、2は質問とその意図がリンクしていないので、学生に意図の汲み取りを丸投げにするのは不適切だと思います。それをして良いのは、1だけ。1もすべきではないという意見もありそうですが、こちらはビジネス上、必要な素養の見極めになるので、個人的にはアリかなと。

 

なお、記事の最後には次のように述べています。

 

悲しいかな多くの場合、これが現実ですが(「うちは違う」というところはごめんなさい)、個の専門性が求められる現代において、そんな採用や就職でよいのかは甚だ疑問です。

応募者の側には、最終的にどう評価されようとも、やりたいことが具体的にあるなら主張して自分の専門性を磨く仕事につくべきだと言いたいです。企業側には、カルチャーフィットは大切ですが、専門人材がたくさん必要になるのであれば、面倒くさがらずに「仕事を選ぶ人」をもっと重視しましょうと言いたいです。

さて、読者の皆さんの興味ある企業は、どのような姿勢でこの質問をしているでしょうか。ぜひ見極めてみてください。

 

記事を書かれた曽和さんは、就活メディアを運営していた時代から書籍を拝読したり、Facebookをフォローさせていただいたりして、折りに触れお話を拝見してますが、学生目線を持った素晴らしい方だと思っています。批判のポイントはそこなのかなと少し疑問に思わなくもないですが (そもそも意図を隠して質問している点がおかしいので)

 

とにもかくにも、曽和さんがおっしゃるように、一刻も早くこんな採用や就職がなくなるといいなと思うばかりです。

 

とりあえず、そんなところです。

眠いので、寝ます。