swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

上司の「もっと気を利かせて」の繰り返しにイライラする部下の話

気が利かないのも、気を利かせすぎるのも、仕事では嫌がられる恐れがありますよね。ただ、後者については「例外なく良いこと」と勘違いされている方も多いのかなと感じなくもありません。

というわけで、今日は「気を利かせてほしい上司が鬱陶しい」というお話。

 

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web制作会社でコーディングを担当しているTさんは、上司が口癖のように「もっと気を利かせて」的なコメントを口にするそうです。で、それがウザいとのこと (直球。苦笑)

たとえば、営業 (ディレクター兼務) から降ってきたクライアントの依頼に対応しているとき、ふとデザインの崩れっぽいものを発見したとしましょう。

このとき、もちろんTさんはこれを直しません。ただ営業や上司は「いやいや気を利かせて直してよ」と言うそうです。で、そのたびに直さない理由をちゃんと説明してるのに、全く聞き入れてもらえないのだとか。

 

ちなみに、上司は制作およびディレクター、要はweb制作全体を見ており、営業と制作双方の声を拾い上げて両者に還元してくれる良いマネージャーらしいです。ただ営業畑出身だからか、両者の声がぶつかったときは営業を優先する傾向にあり、それが制作陣には少々納得いかないのだとか。

 

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なぜTさんが直さないのか不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。

その理由は単純で「指示されてないから」です。

言われてないことはやらない。だからこそ、営業や上司も「気を利かせて」と口うるさく言うわけです。

 

営業サイドのスタンスを正とするかは会社次第でしょうが、世間的には「正としない会社」が多いように感じます (少なくとも筆者の周りでは)

営業や上司の方の気持ちもわからなくはないですが、クライアントから言われてないことを勝手にやるのは危険です。たとえそれが明らかなデザインの崩れなどであっても、あるいは「あえてそういうデザインにしている」のかもしれません。

 

筆者も以前「いやいや、これ明らかにデザインおかしいよね・・・」と思うwebサイトのリニューアルをディレクションしたことがあります。それまで左右対称の作りだったのに、途中に2つ並んだボタンだけ中心線より右に寄っている、そんなイメージのサイトです (センタリングではなく右揃えになっている)

気になって仕方なかったので「これ、こういうデザインですよね?」とクライアントに聞いたら「そういうデザインです」と返ってきました。ただ、そのあと何人かの知人に「このデザイン、崩れてると思う?」と聞いたところ、漏れなく「崩れてる」と断言。

要は、世間的に見て「崩れてる」サイトデザインが正なケースもあるわけですね。

 

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少し話がずれますが、デザインに限らず、クライアントからの依頼はオーダーとオファーに分けられます。

  • オーダー:注文。「これやって」
  • オファー:相談。「これどうやったらいいと思う?」

クライアントから「オーダー」が入ったら、それをこなすのがこちらの仕事ですね。「牛丼ください」と言われたのに「いまは豚丼がおすすめですよ」と言ってはいけません。一方で「今日のおすすめは?」という「オファー」が入ったら「豚丼です」と提案しても問題ありません。

このオーダーとオファーの違いは、いわゆる「注文」で考えると分かりやすいですが、こと営業活動や制作現場にシーンが変わると、その違いが意識されなくなるように感じます。特に営業は「コンサルティング営業」という職種名が誕生して以来、オーダーがクライアントにとって最善でなければ、あえて「いやそれよりこうしましょう」と逆提案するのが是とされるようになった印象です。

余談ですが、昔の就活サイトではこうした営業姿勢のアピールが「真に顧客のことを考えている立派な企業」の証として乱立してましたね。今だから白状できますが、この手のアピール文を見るたび「言われたこともできないのか、この会社は・・・」と白い目で見てました、すみません (苦笑)

 

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閑話休題。

オーダーはクライアントの中で「やると決まっていること」なので、やらないといけません。もっと良い提案があるとしても、それはその次の話です。まずクライアントからのオーダーに応えて実行するのが先ですね。そうして信頼関係を築いた先にあるのがオファー (逆提案) の段階だと、個人的には思ってます (もちろん最初からオファーを要求されれば、それに応えるだけですが)

以前、PR会社の知人が「逆提案されると困る」と言っていました。社内で「こうやります」と決済が下りて予算も取って外注するのに、そこで「もっとこうしたほうが効果的ですよ」とか言われても、そもそもやりようないので。これなんかは外注先がオーダーにオファーを返して、失敗してしまった一例ですね。

 

先のTさんの例は、この話から少しズレたケースですが、頼まれていないことをやって失敗する (恐れがある) という点では共通かなと思います。要は「オーダーに対して、オーダー以外のことをやってはいけない」わけですね。よほどの信頼関係があったり、明らかな誤りの修正 (明確な誤植など) だったりでもしない限りは。

先の上司や営業の方の「気を利かせて」という要望は、ありがた迷惑になる恐れがあります。もしやってほしい場合は、やっていいかクライアントに確認を取り、ちゃんとした「依頼=オーダー」としてもらわなければいけません。

制作サイドにできるのは「どんな気を利かせたらクライアントは嬉しいか」を想像し、それをやっていいかクライアントに確認してと営業に相談するまでだと、個人的には思います。

 

もっとも、筆者が制作側の人間だからそういう思考なだけで、営業サイドからするとまた違った考え方なのかもしれません。

筆者も前職時代 (医療系メディアのライター)、営業に「ここの言い回し、これで大丈夫ですか?」と尋ねることはあっても、それをクライアントの許可なく修正することは絶対にしませんでした。営業に「直して」といわれても「許可がないと直せません。これがクライアントにとって正かもしれないので」と説明して、必ず確認を取ってもらってました。

営業からすると「いや明らかにおかしいんだったら、直しても大丈夫でしょ」と感じるのかもしれませんが、文章のセンスって本当に人それぞれなので、一般的に「え!?」と思うテキストでも、それで良いってケース、意外と多いんですよね。

 

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余談ですが、気を利かせるときに、なんでかサプライズ的にやりたがる会社ってありません? それでクライアントが「それ頼んでませんよね?」とご立腹するという失敗談をけっこう耳にします。

いえ、だからなんだという話なんですけど (苦笑)

 

とりあえず、そんなところです。

眠いので、寝ます。