swatanabe’s diary

webライター、ラノベ書き(アマ)。だいたい創作とゲームとラノベの話です。

成長のデザインについて /『ダンまち』を読んで

ようやく読みはじめました『ダンまち』14巻(遅)

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか14 (GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか14 (GA文庫)

 

 

もう15巻も出てますけど、仕事でバタバタしてて、買えてもいない始末です。はい。

で。14巻まだ読み終わってないんですけど、少し思い出したことがありまして。

 

     *

 

『ダンまち』って、要はベルの成長物語なわけですが、凄いなと思うのが、ベルが "違和感なく" "段階的に=リアルに" 成長していくところ。彼の冒険者としての歩みが、とても綺麗にデザインされてるなと思うのです。

 

そう思ったきっかけは、以前にベルのステータスがどう変わってるのかグラフ化したことでした。

筆者が読んだ範囲で、話が完結してるゼノス編直後(12巻)までのステータス遷移を追うと、こんな感じになります(作中表記はステイタスですが、ここではステータスと書きます)

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縦軸がステータスで、横軸がレベルです。補足として、ステータスはランクアップするとゼロにリセットされますが、Lv.1の最終ステータス=Lv.2の最初のステータスのように置換してグラフ化してます(変遷を見やすくするために。縦破線の箇所)

 

この推移を眺めてるだけでも、いろいろ想像できて面白いです。

たとえば、Lv.1の頃を見ると、耐久の上がりが鈍いです。敏捷を活かして攻撃をほとんどもらわなかった様子が垣間見えます。逆にLv.2直前で一気に上がっているのは、直前にミノタウロスとの一戦があった影響と思われます。

魔力は魔法を発現した直後に急上昇してますが、これはつい嬉しくなって使いまくったからでしょうか(作中に描写があります)。Lv.2の頃と比べて、それ以降の魔力の上昇が少し鈍るのは、魔法に頼りがちだった戦闘スタイルが矯正されたのかなと想像できます(ファイアボルトを覚えて少し後に、使いやすさから頼りがちな点を危惧する描写があります)

Lv.3以降、敏捷と他の差が開いてるのは意外でした。グラフ化する前は「攻撃をもらう機会が増えるだろうから開きが縮むのでは?」と思いましたが、結果は真逆。特にLv.3の最初期に敏捷が他より伸びてます。

気になって読み直してみると、このときイシュタル・ファミリアと鬼ごっこしてるので、その影響かなと考えられます。

Lv.4目前で耐久が一気に伸びてるのは、ゼノス編の渦中でアイズにボコボコにされたからでしょうか。その後のアステリオスとの一戦は、そこまで攻撃を喰らってる描写はなかった気がするので。

 

・・・と。このへんにしておきます。

もちろん、すべて筆者の勝手な想像ですから、実際どんな意図で各値が設定されたのかは不明です。ただ、偶然でここまで綺麗なグラフになるとは考えにくいので、明確な意図をもってデザインされたステータスなのだろうと思っています。

 

     *

 

実際、ストーリーを追ってみても、ベルの成長って丁寧にデザインされてると思うんですよね。彼は一歩ずつ着実に、リアリティをもって成長していきます。

 

1巻から3巻あたりまでは、ベル自身の力が段階的に伸びていきます。

1巻の冒頭、彼は夢を見てる(ダンジョンに出会いを求めてる)だけの少年で、強くなりたいとか、冒険者としてこうありたいとかは(ほとんど)ありません。感情の赴くがままシンプルに行動してる感じ。この頃のベルをミア母さんが「冒険者のくせに可愛い」って評してますけど、まさにそんな感じ。

 

そんな彼の皮が最初にむけるのが、ベートに馬鹿にされたとき。シルにハメられて行った豊穣の女主人で、彼はけちょんけちょんに罵倒されます。

でも、ここでベートを見返すために強くなろう! みたいな強い決意を固めるのかというと、そうではない。悔しさに任せるがまま衝動的にダンジョンへ飛び込み、ひたすらモンスターを倒し続けます。どことなく八つ当たりにも見えますね。

ただ、ここでの戦闘(ウォーシャドウ戦)がきっかけとなって、彼は「強くなる」ことを少しずつ意識するようになります。

こうした些細な描写が、ダンまちって凄くいいんですよね。いきなり強くなったり生まれ変わったりしない。強さをインフレさせて強くするとかもない。一歩ずつ、リアルに、等身大の少年が成長していく感じがとても好きです。

 

そんな彼の大きな成長を感じられる最初のシーンが、モンスターフィリア。逃げ出したシルバーバックと対峙するとき。

ここって冒頭と綺麗に対比されてて、

  • 冒頭:自分より上位のモンスター(ミノタウロス)に追われて、女の子(アイズ)の前で、ただ逃げ回るだけ
  • ここ:自分より上位のモンスター(シルバーバック)に追われても、女の子(ヘスティア)の前で、ただ逃げ回らない

と、ちゃんと成長してるのが分かります。敵が違うので明確な対比とは言えませんが、自分より格上の相手を前にして、以前は逃げ出したベルが、ここではヘスティアを守るため勇敢に立ち向かいます。

 

     *

 

ただ、この頃のベルは、少し強くはなっても中身はこどものまま。2巻の冒頭で、強くなった自分が嬉しくてついはしゃいだり、魔法(ファイアボルト)を発現して試し打ちしまくったりと、まだ幼さが残ります。

2〜3巻は、そんな彼が、だんだん芯のある少年に変わっていくフェーズ。それまでの力(外面)の成長に対して、今度は内面が成長していくといいますか。口調や振る舞いもこのあたりからキビキビし始めます。

特に3巻、アイズとの修行で、その強さを肌で感じて「本当に追いつけるのか」と悩むシーンがとても印象的。彼女の存在が夢から現実的な目標に変わったのは、強くなることと真剣に向き合うようになったベルの精神的な成長を感じさせます。

 

その一旦の終着点が、3巻の終盤、実に80ページを使ってのミノタウロス戦。

これ以降、戦闘における油断などは見られなくなり(2巻の最初のほうには、慣れた7階層で油断する描写があります)、冒険者として一回り大きくなった感じがあります。Lv.2になった喜びにウキウキしたり、英雄願望がバレて泣き崩れたり、年頃に幼い面は残ってますが、冒険者としての核がここで固まった感じ。

 

     *

 

4巻からは、個人としての成長から、パーティリーダーとしての成長に軸が移ります。

最初はダンジョンを舞台に、次にアポロン・ファミリアとのウォーゲーム、イシュタル・ファミリアとの悶着、そしてゼノスたちとの出会い。パーティー→ファミリア→オラリオと物語のスケールが大きくなる中で、ベルが何を考え、どう決断するのかが描かれていきます。

 

印象的なのは、それまではダンジョン内でセオリーをベースに「判断」を迫られる場面が中心だったベルが、無理難題を前に「決断」を迫られるようになる点。

たとえばイシュタル・ファミリアとの鬼ごっこでは、アイシャに春姫を救う覚悟を問われて動揺するシーンがあります。こうした価値観の揺さぶりに直面し、どうしたいか必死に考え、正解のない道を自分なりの答えを導き出しながら進んでいきます。

ゼノス編でフェルズが言った、

「これからも悩み、悶え、迷い、そして今日のように決断してくれ」

というセリフは、まさにその象徴のように感じます。

 

     *

 

こうして振り返ってみると、ダンまちのストーリーって、個人的には人生の縮図みたいに感じます。前半は大学卒業まで。後半は社会に出てから、みたいな。判断が中心の学生時代と、決断が中心の社会人時代。

だからか、ダンまちは共感や同情を抱くシーンがとても多いです。ファンタジーなんですけど、とても身近に感じる物語。

 

・・・といったところで、まとまりがないですが、そんなところです。

気ままに書いてきたので、あとで書き直すかもしれません。

 

眠いので、寝ます。