swatanabe’s diary

ラノベ作家をめざしてた元ニートの備忘録です。基本ラノベと創作、ゲームの話しかしません。好きなようにしか書きません。

2020卒の新卒採用へ向けて、就活の現状をデータから眺める。

某大学で行う授業用に就活関連のデータを漁った備忘録です。

 

 

20卒生の6割ほどが志望業界を決定済み

2018年10月時点で志望業界を決めている20卒生は、65.7パーセント。理系の学生はどちらも70パーセントを超えている一方、文系は男女とも全体平均以下。女性は56.0パーセントと少し低めです*1

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各属性の志望業界ベスト5は以下のとおりでした*2

文系男性 文系女性 理系男性 理系女性
銀行 マスコミ 電子・電機 医薬品・医療関連・化粧品
調査・コンサルタント ホテル・旅行 情報・インターネットサービス 素材・化学
商社(総合) 銀行 情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト 水産・食品
マスコミ 商社(総合) 自動車・輸送用機器 精密機器・医療用機器
官公庁・団体 水産・食品 素材・化学 官公庁・団体


理系の学生は25パーセント近くが明確に志望業界を決めていると回答していたとおりのランキングという印象。自分の学んだ知識・技術を生かせる業界を選んでいるのでしょう。対して同回答が20パーセント弱&全体的にも理系より志望業界決定率が低い文系では、ブランドや企業イメージなどが先行していると感じます。

 

20卒生の6割弱が大手企業を志望

志望する企業規模を見てみますと、56.9パーセントの就活生が大手企業を志望*3

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男性のほうが大手企業志望率が高いというのも面白いですね。女性は条件さえ合えば中小企業でも構わないと考えている方が多いのでしょうか。

 

日本企業全体に占める大手の割合は0.06パーセント

ところで、その大手企業の割合は現在、0.06パーセントだそうです*4

  中小企業 大手企業
定義 社員300人以下 社員301人以上
国内企業数 172万社(99.4%) 1万社(0.06%)
従業員数 2,700万(65.9%) 1,400万(34.1%)


中小企業の定義は業界や資本金によっても変わるので、社員300人以下=中小企業ではありませんが、いったんこのまま話を進めます(なお、この数字は非1次産業の民間企業のみが対象で、個人事業主は含まれません)

国内に占める大手企業は全体のわずか1万社。このすべてが新卒採用を実施するわけではありませんから、就活生が応募できる企業はもっと少ないと思われます。

従業員数の上では、会社員の34.1パーセントが大手企業勤め。ここから単純計算すると、大手企業に就職できる就活生はおよそ30パーセントくらいとなるでしょうか(かなり乱暴)

 

中小企業の求人倍率は9.91倍、超大手企業は0.37倍

2019卒の求人倍率を見てみますと、1.88倍と近年では最高。ここ最近は右肩に上がっています。

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一方、企業規模別に見ますと、従業員300人未満の企業の大卒求人倍率は、なんと9.91倍。同規模の企業を志望する就活生1人あたり、9.91人分の求人がある計算です*5

一方、従業員5,000人を超える大手企業(勝手に超大手企業と呼びます)の同倍率は、わずか0.37倍。これは過去10年で最低の値です。

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中小企業はここ10年で右肩上がりですが、5,000人を超える超大手企業は横ばい・やや微減の低空飛行を続けています。ちなみに間の2本のグラフは、300〜999人の企業群と、1,000〜4,999人の企業群の倍率です。

業界別に見ますと、流通業界は12.0倍を超える一方、金融業界は0.21倍。業界格差が激しいですね*6

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残り3本のグラフの業界は上から、建設、製造、サービス・情報です。建設も大卒求人倍率は高く、確か9.0倍くらいだったと思います。ちなみに流通業界は求人総数34.1万人に対して志望者数が2.7万人。金融業界は求人総数1.0万人に対して志望者数が5.2万人でした。

ディスコによる調査では、採用活動が「とても厳しい」と回答した割合が、金融(23.9パーセント)より流通・商社(34.1パーセント)やサービス業(40.4パーセント)で高くなっており、ここからも就活生の人気業界への集中が示唆されます*7。もっとも回答「厳しい」まで含めると、金融業界が最も厳しく感じている結果にはなるのですけど。

 

超大手の求人5.1万人分に応募した、13.3万人の19卒生

大卒求人数では、中小企業の総数が46万人に対して、5,000人超企業が5.1万人と、実に9倍もの開きがあります*8

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5,000人超企業の求人数は横ばいですけど、300人未満の中小企業の求人数は右肩上がり。ちなみに、この51,400人分の求人を志望した就活生は133,800人でした。新卒生はおそらく40数万人(2017年は436,152人)いるので*9、仮に全員が民間就職希望者としても、3人に1人が超大手志望という計算。中小企業庁の定義する大手企業(301人以上)で調べたら、どのくらいまで膨れ上がるのか気になります。

やや余談ですが、就職みらい研究所によれば、2017卒の民間企業就職志望者は80.3パーセント*10。この数字を使うなら、2017卒の民間就職希望者は35万人くらい。4割近い(約38パーセント)就活生が5.1万人しかない求人に集中したことになります。

 

中小の新卒3年後離職率は、大手よりもかなり高い

ここまでのデータを眺めていますと、就活生が大手志向な傾向にあることがなんとなく予想されてきます。となると、個人的に気になるのが中小企業就職者の離職率。求人数から自明のように、就活生の大半は最終的に中小企業へ就職するからです。

厚生労働省によれば、2015卒の卒後3年の離職率は、従業員1,000人以上の企業で24.2パーセント。対して4人以下の企業で57.0パーセントでした*11

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企業規模が小さくなるほど離職率が高くなる傾向が出ています。

ただ、離職にはさまざまな要因があるので、このすべてを就活のミスマッチに紐づけるのは乱暴。ブラックだったから辞めた、もっと合う会社に転職できたなどはポジティブな要因=辞めるべきだったと見たほうが良いでしょう(前者は次が未決だとそうとも言えませんけど)

就活に起因するネガティブな要因に基づく離職率とかわかると良いのですけど、そこまで細かいデータは見つけられませんでした。

ちなみに全体の離職率は以下です*12

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2015卒生の3年後の離職率は31.8パーセント。30パーセントちょっとなのは1995年から変わらずです。一時期、新卒生は3年で3割が辞めていると騒がれましたけど、実際にはバブル崩壊以降あまり変化していません。

ちなみに、会社を辞めたいと思った1年目の社会人は30パーセントほどいるそうです*13

 

若年正社員の離職が最も少ないのは、電気・ガス・熱供給・水道業

2018年、厚生労働省が若年者雇用実態調査を実施しています*14。この調査は2013年にも実施されており、業界別の退職率などのデータを知ることができます。

2013年のデータを参照しますと、若年雇用者の離職が最も少ないのは電気・ガス・熱供給・水道業の11.9パーセント*15。トップ5は次のとおりでした。

電気・ガス・熱供給・水道業 11.9%
教育・学習支援業 16.2%
鉱業・採石業・砂利採取業 17.6%
飲食・宿泊サービス業 18.0%
複合サービス業 18.0%

※ほかにどんな業界があるかはデータ元の調査結果をご覧ください。

電気等業はインフラですから、安定を求める人が多く勤めている印象です。鉱業等はコアな世界ですから、もともと好きな人でないと就職しないと思われます。

興味深いのは教育業界と飲食業界の若年正社員離職率が低い点ですね。

どちらもブラック業界の代名詞ですし、離職率も高いことで知られています。が、両者の離職率を跳ね上げている要因はアルバイトの離職です(詳細は若年者雇用実態調査をご覧ください)。正社員だけで見ますと、それほどでもないわけですね。

しかし、だからホワイトな業界かというと、決してそういうわけではありません。筆者自身、大手の予備校と教育系ベンチャーで働いた経験がありますが、いろいろブラックでした。不倫とかパワハラとか生徒を殴るとかセクハラとか給与未払いとか1ヵ月泊まり込みの長時間労働とか、いろいろありました。特に予備校時代は、わずか1年で役員2人が首になり(どちらもセクハラ)、所属していた部署の部長が3人かわりました(なぜか部長が4人、課長が2人いました)

話が逸れましたが、教育業界はわりとブラックです(もちろんホワイトな会社もたくさんあります)。でも、社員はそれほど辞めません。そこにはちゃんと理由があるのですけど、今回は関係ない話のため割愛します(備忘する気がおきたらそのときにでも)

 

18卒の就職内定率は98パーセントだが、学卒未就職者も4万人

就職率はどうかといえば、18卒は98.0パーセント*16

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ただ就職率の定義は「就職希望者数に占める就職者の割合」であるため、就職を希望していない人(内定が出ないで諦めた人など)は母数に含まれません。

ここで気になるのは、内定が出ないまま卒業した新卒生の数。正確なことはわかりませんが、総務省労働力調査(2017)によれば、20〜24歳の学卒未就職者は約4万人いた模様です。ただこのデータは万単位で集計がかかっているので、かなり誤差があるとも思われます。

2017年の大卒者は、先にも示したように436,152人。乱暴に言えば、約10人に1人が学卒未就職者です。

 

優秀な就活生に内定が集中している

内定の出方としては、優秀な就活生に集中している感じがします。

2社以上の内定を取得した、2018卒で59.5パーセントでした*17

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ご覧のように、就活生に占める複数内定獲得者は右肩上がりです。

以下は内定が1社だった就活生と2社以上だった就活生、それぞれの割合の推移です*18

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2社以上の就活生が増加しています。これは皆が複数内定を獲得できるようになった=就活が楽になったというより、優秀な就活生に内定が集まっていると見たほうが良いと個人的には思います。

以下は、卒年度ごとの内定獲得数別・就活生割合です*19

  1社 2社 3社 4社 5社 6社
18卒 40.4 24.1 19.3 7.1 3.8 5.2
17卒 45.0 25.2 14.2 5.9 5.5 4.1
16卒 45.8 25.1 14.6 5.8 4.6 4.1
15卒 50.0 25.6 12.9 5.2 4.2 2.1
14卒 55.3 23.8 12.3 3.9 2.4 2.3


1社獲得の就活生は減少傾向(ここ5年で15パーセント減)。対して、3社獲得、4社獲得、6社獲得は18卒で過去最高を記録しています。

企業側から見てみますと、金融業界で内定辞退がかなり増える一方、流通・商社で減っているというデータが興味深かったです*20

 

企業の就活生に対する満足度は下がっている

企業の新卒採用活動の満足度を見てみましょう。

以下のグラフは、ディスコが企業に新卒採用の量と質に満足しているか調査を行った結果です*21

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一番左が「質・量ともに満足」、次が「質は満足・量に不満」、さらに「質に不満・量は満足」「質・量ともに不満」です(一番上から19卒、18卒〜)

質に満足と回答した企業が全体の約60パーセント。ただ、質に不満を持つ企業がここ数年で微増傾向にあります。

また量の不満のほうが質の不満よりも多い様子が見受けられ、複数内定獲得者増加の背景と併せて考えると、優秀な学生に内定が集中して辞退が増えている様子が示唆されます。

 

そのためか、近年は厳選採用の流れが少し落ち着いてきました。

就活生の質と採用充足数のどちらを重視するかヒアリングしたディスコの調査では、80パーセントの企業が「質」と回答していますが、この値はここ10年近くで過去最低です*22

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(濃いグレーが「質重視」の割合。2016卒はデータが見当たらなかったため割愛)


近年は売り手市場ということもあり、採用充足数を意識する企業も増えています。

 

18年9月時点で後悔している19卒生が約8割

9月まで就活を継続している学生のうち、実に81パーセントが後悔していました*23

f:id:pewyd:20181130075141p:plain18卒(75.3パーセント)よりも増えていますね。

後悔している内容のトップは自己分析で、57.5パーセントの就活生が該当。

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次点が業界・企業研究で、会社選びの準備不足を嘆く声が多いようです。同調査に寄せられた就活生のコメントを以下に引用します。

  • いまだに自分が向いている仕事がわからない。もっと早くから考えれば良かった。
  • 軸が明確にならず、片っ端から受ける羽目に。ここまで(9月)内定が出ず焦っている。
  • 後から興味が湧いた企業が軒並みエントリーを締め切っていた。
  • 数社受ければ内定は出るだろうと思っていた。でも出ない。就活をなめていた。

(ディスコ「学生モニター調査 2019卒 vol.10 9月1日時点の就職意識調査」より)

面接対策では「もっと早く場数を踏んでおけばよかった」と、早くから準備してこなかった後悔の言葉が見られました。

 

2017年、就活失敗を理由に自殺した20代は69人

暗い話ですが、警察庁によれば、2017年に「就職活動の失敗」を理由に自殺した20代の方が69人いらっしゃったそうです*24

ただ、この調査ではうつ病による自殺などが別に集計されるため、就職失敗→うつ病にかかる→自殺といった就活生はおそらく後者に該当するものと思われます。そうなると、就職失敗が直接/間接の要因として自殺に至ってしまった方の人数は、もう少しだけ増える気がします。また新卒以外が含まれている点もご注意ください(同データはあくまでも「20〜29歳」で集計されています)

人数の上では少ないですけど(同年の自殺者総数は21,681人)、本来ゼロでなければならないので・・・解決が難しい課題ではありますけど。

 

企業の採用基準と就活生のアピールに大きなギャップがある

企業が採用基準として重視する項目ベスト3は、以下のとおりです*25

  • 人柄(92.1パーセント)
  • 企業への熱意(77.6パーセント)
  • 今後の可能性(65.6パーセント)

50パーセントを超える企業が重視すると回答したのは、この3つだけでした(次点の性格適性検査の結果は、41.8パーセント)。

対して、就活生のアピール内容ベスト3は、以下のとおりです。

  • アルバイト経験(44.4パーセント)
  • 人柄(36.0パーセント)
  • サークル活動(32.6パーセント)

ご覧のように企業の採用基準と噛み合っていません。このギャップは全体をグラフ化すると如実に見えてきます。

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右が「真ん中の項目を採用基準として重視する」と回答した企業の割合、左が「真ん中の項目をアピールした」と回答した就活生の割合です。就活生が企業の採用基準を理解していれば、グラフは対称になるはずですが、そうはなっていません。

次の表は、学生がアピールした項目ベスト5について、採用基準として重視している企業の割合をまとめたものです。

  アピールした学生 重視する企業
1. アルバイト経験 44.4% 21.1%
2. 人柄 36.0% 92.1%
3. サークル活動 32.6% 9.0%
4. 大学名/院名 20.4% 14.5%
5. 大学で学んだこと 19.4% 20.2%


企業が重視しているのは人柄くらいで、就活生の3人に1人がアピールしたサークル活動に至っては9.0パーセント。

逆に企業の重視する採用基準ベスト5について、アピールした就活生の割合をまとめてみると、以下のようになります。

  重視する企業 アピールした学生
1. 人柄 92.1% 36.0%
2. 企業への熱意 77.6% 19.1%
3. 今後の可能性 65.6% 11.5%
4. 性格適性検査 41.8% 2.6%
5. 基礎学力 38.4% 4.4%


ギャップは明確ですね。ただアルバイト経験やサークル活動のアピールが今後の可能性など企業の求める要素を含んでいる可能性もあるので、数字をそのまま受け取るのも些か乱暴な気がします。もっとも、人柄や今後の可能性といわれても、具体的になにをどうアピールすればいいのかと困る就活生も多そうですけど。

それにしても、企業への熱意をアピールした就活生が5人に1人に留まっているのは意外でした。

 

     *

 

とりあえず以上。文部科学省の「学校基本調査」や総務省の「日本の統計」あたりがまだ漁れていないので、もしかしたら追記で備忘するかもしれません。

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*1:ディスコ「学生モニター調査 2020卒 vol.01 10月1日時点の就職意識調査」より。「明確に決まっている」と「なんとなく決まっている」を集計。

*2:同上。

*3:同上。「業界トップ」と「業界大手」を集計。

*4:中小企業庁中小企業白書(2018)付属統計資料」より。

*5:リクルートワークス研究所「第35回 ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」より。

*6:同上。

*7:ディスコ「2019年卒・新卒採用に関する企業調査<2018年10月調査>」より。

*8:同上。

*9:文部科学省「学校基本調査」より。

*10:就職みらい研究所「就職白書」(2017)より。

*11:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」より。

*12:同上。

*13:マクロミル「新社会人の意識調査」より。

*14:https://www.mhlw.go.jp/toukei/oshirase/180821-01.html

*15:厚生労働省「平成25年若年者雇用実態調査の概況」より。過去1年間に自己都合で退職した19〜34歳の若年正社員の割合を集計。

*16:厚生労働省「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」より。

*17:就職みらい研究所「就職白書」(2018)より。12卒・13卒のみ(2013)を参照。

*18:同上。

*19:同上。

*20:ディスコ「2019 年卒・新卒採用に関する企業調査-内定動向調査<2018年10月調査>」より。

*21:ディスコ「新卒採用に関する企業調査<10月調査>」より。

*22:ディスコ「採用活動に関する企業調査」より。

*23:ディスコ「学生モニター調査 2019卒 vol.10 9月1日時点の就職意識調査」より。

*24:警察庁「自殺者数」より。

*25:就職みらい研究所「就職白書」(2018)より。