swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

割り算を掛け算だと思っていた姪っ子に、割り算を教えた話

姪っ子(小5)が割り算ができないと姉に泣きつかれたので、このあいだ久々に小学生に勉強を教えました。・・・が、本当に大変でした。昔、公文的な会社で小学生に算数を教えていたので「まぁ大丈夫だろう」と思っていたのですが、甘かったです。

ただ興味深い経験だったので、昔を振り返りつつ割り算の教え方について自分なりにまとめてみようと思います。

 

 

1. まず試しに解いてもらう

とりあえず宿題のプリントを適当に解いてもらいました。どこに課題があるのか見るためです。ちなみにこのときの問題は【 6250÷370 】でした(ちょっと数字が大きい)

さっそく筆算を書くと、頭をポリポリかきながら悩み出す姪っ子。かわいい。

が。肝心の計算は2の上に1と書いたまま絶句。しばらく指で机をトントン叩いたり、ぶつぶつ計算を口ずさんだりしていたのですが、いっさい微動だにしなくなったところで限界だと思いストップ。

 

2. どうやって解いているのか話を聞く

いつもどのように計算しているのかを聞きます。これも課題がどこにあるのかを探るためです。

今回、姪っ子は「掛け算してる」と即答。曰く「こっちの数(割る数)が、こっちの数(割られる数)よりおっきくなっちゃだめから掛け算してる」とのこと。

確かに割り算って掛け算なんですよね。筆者も計算するとき「370の2倍は740で、これは625を超えるから、5の上には1が立つ」と無意識に考えています(多くの方はこう計算するんじゃないかと思います)

おそらく学校の先生も無意識にそうやって教えたのではないかと思います。自分がいつも(無意識に)そう計算しているから(実際のところは不明)

ですが、これは掛け算と割り算をごっちゃにするので、正直こどもには理解しにくい教え方だと思っています。実際、学習教室時代も「割り算なのか掛け算なのかよくわかんない」とパニックになった子が何人かいました。また割る数が大きくなるほど、その数の掛け算自体が暗算できなくなるリスクもあります。

 

ともあれ、これで原因は見えてきたので、次のステップへ移ります。

ちなみに。2.のステップがあるなら1.のステップいらないのではと思われるかも知れません。しかし、実際に解いた直後でないと自分がどうやって計算しているのかを言語化できない子もいるので、必ず解いてもらっています。

 

3. 割り算がどういうものか理解してもらう

この段階で姪っ子は「そもそも割り算がなにをしているのか理解できていない」ことがわかりました。ですので、とりあえずわかりやすい数で割り算がなにをしているのか体験してもらいます。

筆者はよく、りんごを分ける例を使います。100÷20は「100個のりんごを20人で同じ数ずつ分けることだよ」と教えています。具体的に書くと、

 

筆者「100÷20は、100個のりんごを20人で同じ数ずつ分けるってことなんだけど、わかる?」
姪っ子「・・・」(無言で頷く。これは姪っ子のわかってないときのサイン)

筆者「たとえば、ここに消しゴム4個あるでしょ」(より簡単な例で説明)
姪っ子「うん」

筆者「これをおじさんと●●ちゃんで同じ数ずつわけると、いくつずつもらえる?」
姪っ子「2こ」

筆者「だね。これが4÷2ってこと。わかった?」
姪っ子「うん」

筆者「じゃあ次ね。100÷20ってどういうこと?」(もう一度できなかった問題で試してみる)

姪っ子「100個のりんごぉ・・・20人でわけること」

筆者「そうそうそのとおり! それじゃあ、100÷20を筆算してみよう」

姪っ子「うん」

 

このときに意識しているのは、

  • 式の意味するところをちゃんと伝える
  • 実際の物を使って分けてもらう
  • すぐ筆算に移る

です。

 

式の意味するところをちゃんと伝える

この式は「100個のりんごを20人で同じ数ずつ分けるということ」と伝えます。りんごでなくてもかまいません。なにをやっているのかイメージしやすければOKです。

このとき「100個のりんごを20個ずつに分ける」という教え方はしません。両方ともりんごだと、どちらが割る数でどちらが割られる数が区別がつきにくいからです(経験則に過ぎませんが、意外と大事だと思っています)。よって前者を「人」、後者を「りんご」という別の概念で置き換えています。

 

実際の物を使って分けてもらう

紙にりんごと棒人間をいくつか描いて、実際に分ける作業をしてもらいます。「ここにある10個のりんごを、この棒人間5人に同じ数ずつ分けてみて」といった感じで。

これは「割る」という作業が「なにをすることなのか」を実際に体験してもらうためです。昔、実際にりんごと箱を用意してやってもらったことがありますが、とりあえず1個ずつ順番に分ける子、考えてから「2個ずつだ!」と気づいて分けはじめる子など、いろんな子がいて面白かったです。

実物を使うほうが良いのですが(実際に動かせるので)、そうはいかないことが多いので、大抵は紙に絵を描いています。ちなみに筆者は、りんごをポケモンたちで分けるというシチュエーションをよく使っていました。そのためにピカチュウとかプリンとか描けるように練習したのは良い思い出です。

 

すぐ筆算に移る

次はりんごを分ける作業を筆算に置き換えるステップです。いままでやったことを改めて筆算の形でやってもらいます。ポイントはすぐやること。割るという作業の具体的なイメージが残っている状態のほうが、スムーズに定着すると思っています。

学習教室では、筆算が苦手な子は筆算のまま教えても大抵できないケースが多いように感じていました。そのためこうして具体的なイメージと紐づけて教えるようにしていました。

 

ただこのとき問題なのは、筆算と上に示した割り算の具体的なイメージは手順が違うということです。

筆算はまず割られる数「100」の先頭の「1」と、割る数「20」を比べて「1は20では割れないから、ここには何も立たないな」と判断します。一方、上の手順は100を100のまま扱います。よって、前者と後者のギャップを埋めないといけません。

そこで筆算を段階的に教えます。具体的には、

  • 1÷20の筆算を書いて「これはどういうこと?」と教える
  • 10÷20の筆算を書いて、以下同。
  • 100÷20の筆算を書いて、以下同。

といった具合に、筆算の手順と割り算の具体的なイメージを混ぜ合わせます。いろいろ試しましたけど、割り算がなかなか理解できない子にはこれがいいのかなあと勝手に思っています(ただの経験則です)

ここまでの手順を数字や桁を変えながら何度か繰り返していると、時間はかかるけどきちんと解けるようにはなりました。

 

4. 余りのある問題で同じことを繰り返す

で。次に余りのある割り算で同じことを繰り返します。最初から余りのある問題で教えないのは、教える内容を減らすためです。色んなことを一気に教えられると、むしろパニックになりますから(自分がそういうこどもだったというだけですが。苦笑)

 

5. 自分の力だけでやってもらう→できれば終了

1.〜4.ではこちらから誘導もします。よって、最後に必ず一人で解けるかどうかを確認します。できなければ、1.に戻って原因を探るところからリスタートです(大抵3.が不十分で詰まることが多い印象)

こんな感じで、姪っ子はいちおう解けるようになりました(もちろん何度か行ったり来たりはしましたけど)

 

6. 他に気をつけていたこと

補足として、姪っ子に話しかけるときは必ず、

  • 一度に話すことはひとつ
  • なるべく短めに
  • 必ず同意を得てから次に進む

の3つを意識していました。これは割り算に限らず、ほかの勉強を教えるときもそうしています。

 

最後に余談をば。

姪っ子の持っていた宿題プリントの割り算、とにかく数が大きいのが気になりました。たとえば「日本国民は1億2,700万人、国土は37万平方キロ。さて人口密度は?」という問題。そんな大きな数で計算させる必要があるのかさすがに疑問を禁じ得ません。

この問題、姪っ子は律儀に「127000000÷370000」を筆算していたのですが、商を立てる場所を間違えたり、0を1回多く下ろしてきたりしていました。「0が多いからそうなるよな」と思います。

学校の先生たちも、もう少しこどものこと考えて問題つくったり教えたりしてくれないかなと思う一方、5年生対象の宿題だから割り算はできている前提で作成しているのだろうなとも思い(別に間違ってはいない)、なんかもやもやしました。