swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

ファンゴさんは実在した(する)のか気になって、少しだけ調べてみた

ゲームやアニメでイノシシ系モンスターが描写されると、巨大な頭に大きな角を備えた体格で登場することがあります。モンハンのファンゴさんみたいに前躯が大きくて後躯が小さい、そんなスタイルのイノシシです。

 

f:id:pewyd:20191025073447p:plain

(出典:カプコン「ハンター日誌 第8回」4ページより)

 

しかし、ニュースなどで見るイノシシの体型は豚に近い印象。頭は小さくて後躯が大きい、ファンゴさんとは真逆の体型をしています。

 

実は豚とイノシシが似ているのは当然で、イノシシは豚の祖先種。イノシシを家畜として馴致したのが豚のはじまりといわれています。

またこの逆の流れもあり、アメリカやオーストラリアなど本来イノシシが生息していなかった土地では、アジアなどの豚が流入して野生化し、イノシシとなったそう*1。なるほどもしこの流れが世界的に大勢であれば、豚に似たイノシシばかり見かける現状にも一定の納得感があります。

 

ただ、ファンゴさんのようなイノシシは過去に実在したようで、ある資料*2の写真を拝見すると、確かに前躯の肉量が豊かで後躯の細いイノシシが見受けられ、その姿はサイズこそ違えどまさにファンゴさん。どうやらこの体躯でないと野山では生きていけないようです*3

ただ、もしそうなら、今の野生イノシシがファンゴさん体型でないのは、少し違和感を覚えます。

ほとんどのイノシシは、野山で暮らしていないということなのでしょうか?

たしかに環境省の資料によれば、ニホンイノシシは落葉広葉樹林や水田放棄地、竹林を好むらしいです*4。また、イノシシはもともと平野で暮らしていた動物であるとの指摘もあります*5

 

このあたりは判然としないので、いったん話を戻します。

 

先に引用したファンゴさん体型のイノシシは沖縄のイノシシだそうで、これはつまりリュウキュウイノシシという種類の個体だと思われます。

では、リュウキュウイノシシは皆ファンゴさん体型なのかと思い、googleで画像検索をかけてみると。

 

f:id:pewyd:20191025072525p:plain

(出典:Google画像検索より)

 

どうやらそうではなさそう。なかにはファンゴさんっぽいイノシシもいますが、どちらかといえば豚に近い体型のイノシシが多そうです。

日本にはリュウキュウイノシシとニホンイノシシという2品種が在来種として存在しており、その点やここまでの話を踏まえると、日本の野生イノシシの源流には2つの可能性があると考えられます。

  1. 在来種がそのまま繁殖し、なぜか豚に近い体型になった 
  2. 家畜として馴致された在来種のイノシシ(豚に近い体型のイノシシ)が再び野生に帰った

 

どちらもありそうですが、いろいろ調べてみると、どうやら1.のほうが主流の見解なのかなといった印象です。

ある論文によれば、ニホンイノシシのなかには豚に特徴的な遺伝子が確認される個体もおり*6、リュウキュウイノシシも遺伝的には豚と同種(イノシシ:学名Sus scrofa)であることが示唆されるとしています*7。またこのリュウキュウイノシシに関する研究のなかでは、同イノシシがもともと豚と遺伝的交流があったことも別論文より引用されています。

2.についてはほとんど文献がないのですけど、ある資料に「オーストラリアでは野生化した豚がファンゴさん体型に変わりつつある」との興味深い情報がありました*8。ただ、日本のイノシシに関する同様の報告や研究は見当たらず(ただの筆者の調査不足と思われます)、現状は「野生のイノシシたちが、なんでかわからないけど(おそらく遺伝的な何か?)豚に近い体型になった」と見るほうが確からしいのかなぁ、といった印象です。

そう考えると、もし2. のオーストラリアのイノシシがファンゴさん化した要因が日本のイノシシに見られなければ、おそらく今後もファンゴさん体型のイノシシが日本で誕生することはないのかもしれません。

 

結論。

ファンゴさんは「それらしいのは実在する」みたいです。

 

しかし、ここまで書いて思いましたけど、ホントどうでもいい話ですね。笑。こんなどうでもいい話、ここまでお読みいただいてありがとうございます。

ただ、こんな駄文を読むより、もっと有意義なことに時間を回していただけたら幸いです。

 

とりあえず、そんなところです。

眠いので、寝ます。

 

※なお余談ですが、筆者はモンハンをやったことがありません。

*1:大石孝雄「豚の遺伝資源の保全と利用」日本養豚学会誌 33巻 4号 1996

*2:黒澤弥悦「イノシシがブタになるとき ― どのように始まるのだろうか?」日本SPF豚研究会 All about SWINE 43 2013

*3:水間豊「わが国の食肉生産の課題」食肉の科学 vol.42 No.1 2001

*4:環境省「特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン(イノシシ編)」II 種別編

*5:農林水産省「イノシシ被害対策のすすめ方~捕獲を中心とした先進的な取り組み」第1章 イノシシを知る

*6:小林栄治・奥村直彦・湊和之・黒木政博・安田康明・新居雅宏・松橋珠子「成長ホルモン遺伝子におけるニホンイノシシへの豚遺伝子の流入」日本養豚学会誌 50巻 3号 2013

*7:黒沢弥悦・田中一栄・大石孝雄「西表島産リュウキュウイノシシ Sus scrofa riukiuanus の遺伝的変異性」哺乳類科学 29巻 2号 1989

*8:株式会社埼玉種畜牧場「サイボクぶた博物館」ぶたの起源