swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

先を歩く者の責務

知人の頼みで、ある会社のメディアの運営を手伝う手伝わないという話が出まして。

正直いまそんな余裕ないのですが(ゲームしたいしラノベ書きたい)、恩義のある人だから断るのも申し訳ないので、話を聞くだけで終わる可能性だけ伝えて、担当者にお会いしてきました。

結果、お断りしました(早

 

理由としては、単純に先方と馬が合わなかったです。

まず「質こそ正義!」な点がダメでした。PVに対する嫌悪感(PV=悪という極端な風潮)が社内に根強くて、個人的に相容れず。

筆者は「量より質」という考え方には賛成ですが、PVはメディアにとって大切な資産であり、その生み方が大切だと考えています。バズのために炎上させる、サテライトサイト大量に作って外部リンクを張りまくる、ブロガーに頼んでステマ記事を量産する、などは倫理的にアウトですが、OKな範疇の手段なら普通にやります。今は広告がPVに紐づいている以上、PVがないと収益化=メディアを運営できません(広告収入だけで運営を考えるなら)

 

あと、人としても合いませんでした。

この会社、いま記事を内製してるんですが、素人目に見てもクオリティが低いです。だから、知見ある外部のライターに頼めばいいのにお金もあるんだから、と思ったのですが、社内では「コンテンツ制作=新人の仕事」みたいに考えているようで、新しく入社した・配属された人が「メディアや業界について知るために」2年くらいコンテンツを作るんだそうな。

この考え方自体は素晴らしいと思うんです。自分で取材したり調べたり書いたりしないと分からないことってやっぱりありますし、そうして感得したリアリティが次のコンテンツに魅力や説得力を与えてくれます。

でも、話を聞いてますと、どうにも「メディアや業界について知るために」行われていないんですよね、この文化。明らかに「俺も最初は苦労したから、お前も苦労しろ」的な雰囲気。残念なことに。

 

苦労は買ってでもしろといいますし、確かにそうだよなと思います。すでに出来ることを繰り返すだけの "ぬるま湯" 仕事をしてても、気持ちは良いでしょうけど、得るものはありません。最悪、過去の栄光に縋って悦に入る陶酔感めいた勘違いで身を滅ぼすだけです。

 

ただ、苦労それ自体に価値はありません。

苦労して壁を乗り越えなければ掴めないこと、価値があるのはここです。

言い換えれば、この「乗り越えて初めて掴めるもの」が掴めない苦労に価値はありません=無駄な苦労です。苦労すること自体を目的化してはいけません。

 

先の会社は、新人さんが作ったコンテンツへのフィードバックが、ひどい言い方をしますと雑で「もっと分かりやすくしなさい」とか「もっと読者が読みたくなるような内容を盛り込みなさい」という「指示」ばかり。「こうすると、もっと分かりやすくなる」「こういう内容を読者は求めている」といった具体的な「提案」がありません。おそらく「そこを自分で考えないと成長できない」という発想っぽいのですが、それは新人に求めることではないと思われます。

 

自分たちが味わった苦労を後進に残さない。

これは、先を歩く者の責務です。

 

社内に10の解決すべき課題があれば、まず自分たちが3、苦労して改善する。

そして後輩には、残りの7から1でも2でも、苦労して改善してもらう。

こうして社内の課題を苦労して減らしていくことで、会社はより良い環境を手にできたり、事業が成長したりします。ポジティブな循環が生まれます。

自分たちが経験した「3の苦労」は、解決された時点で無駄な苦労です。それを後輩に課すのは、後輩に無駄な時間を過ごさせている以外の何物でもありません。言ってしまえば、命の無駄使いですね。

 

もちろん(先にも書きましたが)すでに解決された苦労の中にも、体験すべきことはあります。潤沢な予算が手に入ってメディアのコンテンツを外部のプロに委託できるようになったとしても、やはり自分の手で作ってみて、業界の知見や良いコンテンツとは何かを学ぶことは大切です(少なくとも筆者はそう思います)

ですが、その苦労を価値あるものとするには、マネジメント層が適切なフィードバックを行うなど、必要なことがあります。先輩から学んだコンテンツ制作のコツを後進に伝えたり、自分が新しく学んだことも上乗せしたりなど。それがなければ、本人が自己成長できるだけの能力・適性を持っていない限り、無駄な苦労で終わるでしょう(なんでもかんでも人から教えてもらう姿勢はアウトですが)

 

なんかまとまりがないですが、無駄な苦労は止めましょう、という話でした。

とりあえず、そんなところです。

 

眠いので、寝ます。