シナリオライター案件を探している中で、昨日たまたま株式会社ストーリーノートさんという会社を発見しました。
■課題1
下の【選択肢】の中から3つの言葉を選択し、それらが有効に機能する1500文字以内のプロットを作成してください。プロット中、選んだ言葉は≪ ≫で囲んでください。【選択肢】
台風の夜/豪華客船/形見/ビハインド/悪夢/見えない壁/魚の骨/デバッグ/サーカス/ヴァイキング/哲学的ゾンビ/入浴剤/時間差/巣ごもり/すれ違い/自撮り/高層ビル/風刺絵/氏神/合唱コンクール/コーンフレーク/パレイドリア/リモート/背伸び/雨宿り/マッサージ椅子/空き缶/黄昏時/消防車/彗星(ストーリーノート公式Webサイトより)
選んだ選択肢
- すれ違い
- 自撮り
- 空き缶
考えたプロット
出かける先々で画面の右半分を空けた≪自撮り≫写真を撮りまくる高校2年生、明日香。その空いたスペースには、昨年亡くなった2つ上の先輩、香織が映っていた。
2人は陸上部の所属。香織の卒部会の帰りに交通事故に遭い、明日香は重傷を負うも助かったが、香織は亡くなった。
香織の死を受け入れられない明日香はその後、香織に会いたい一心で事故現場の写真を撮りまくった。心霊写真なら会えるのではと考えた末の奇行だったが、ある日、狙い通り写真に香織が映った。それどころか目の前に立っていた。
明日香は幽霊だと思ったが、会話も握手もできた。不思議に思ったが、再会の喜びで特に気にしなかった。ただ、頭が狂ったと思われるのを恐れ、周りには話さなかった。
以来、明日香は家にいるとき以外は香織と大体一緒。香織との思い出を取り戻すべく、どこでも≪自撮り≫写真を撮って回った。結果、≪自撮り≫写真を見てニヤニヤしている妙な子と噂が流れ、学校で浮き始めた。だが、香織さえいれば構わなかった。
ある時、香織が明日香に「最近ぼーっとしてない?」と怪訝そうに尋ねる。そんなことないと明日香。だが、この日を境に2人は≪すれ違い≫始め、やがて友情に亀裂が入る。香織は明日香が話しかけても素っ気ない返事が増えた。
香織を失いたくない明日香は、態度が変容した理由をなんとか聞き出す。いわく「話しかけても明日香が無視するから」。明日香はこの時、香織がずっと側にいたのに見えていなかった事実を初めて知る。
明日香は香織に事情を説明し、なんとか和解。そして、香織が見える時間が減った原因を調べるため、幽霊や関連ジャンルの情報を漁る。結果、脳幹及び大脳基底核など周辺部の損傷に伴う神経学的異常、及びその治療薬が幻覚を引き起こす可能性を知る。
明日香は交通事故の後、脳を損傷した影響で振戦などの症状が出ており、その治療で薬を服用していた。これが過剰な影響を及ぼし、幻覚つまり香織を生み出していた。
この頃、明日香の治療は順調で投薬量が減っていた。明日香はこれが原因と考え、症状がたまに酷いなどの嘘をついて医師から薬を多めにもらい、服薬量を増やす。
結果、香織と会える時間は増えたが、副作用で消化器系と循環器系に異常を来す。医師からは過量摂取を注意され処方量も減らされるが、明日香はネットで同成分の市販薬を購入し服用を続ける。体調は悪化する一方だが、香織の前では元気な後輩を演じ続けた。
だがある日、明日香は路上で倒れ、病院へ搬送される。香織は最近の明日香の顔色が悪かった理由を尋ね、明日香は白状する。
香織はちゃんと治療を受けてと懇願。それは別れを意味するから嫌だと断る明日香だったが、最後にはボロボロの明日香を見るのは辛いと涙を流す香織の意を汲んだ。
その後、明日香は表向き医師の指示に従った。だが、薬の購入は密かに続けた。それに気づいた香織は注意するが、明日香は前に聞いた、卒業式に出たかったという香織の未練を覚えており、自分の卒業式までは幻覚を持たせる覚悟だった。
明日香の思いを前に香織は折れた。そして絶対に無理はしないと明日香に誓わせ、2人で一緒に卒業しようと約束した。
そして卒業式の日。明日香は順調に回復し、だから香織と会える時間はもう僅かだった。
式の後、明日香は香織との思い出の場所、部活の後にジュース片手に延々駄弁った中庭のベンチで香織を待ち続けた。
そして夕方、香織と会えた。2人はいつまでも駄弁った。そして最後、明日香は香織に今日までありがとうと礼を伝えると、香織は消えた。明日香の隣には、触れない≪空き缶≫だけが残されていた。
雑感
無駄に時間をかけるわけにもいかないので、制限時間2時間でやってみました。ちなみにキャラ2人の名前は、昨日「響け! ユーフォニアム」を見たので、あすかと香織から借りています。晴香ごめんよ、君は名前の雰囲気が合わなかった・・・。
2時間しかなかったので、既存作品の助けを大いに借りています。
まず、設定の大枠は「がっこうぐらし!」。これは一目瞭然ですね。そして全体的な構成は、Keyのアニメ作品です。「Charlotte」とか「神様になった日」とか。ちなみに、ラストが卒業式なのは「Angel Beats!」のパクリです。一番好きなアニメの一つなのです。
選んだキーワードが有効に使えているかという点についての所感は、以下の通りです。
- 自撮り
微妙。冒頭の段落を最初に思いついてプロットを書き始めたのですが、いったん書き終わった時、そこ以外で登場しておらず、他の要素と絡んでいないことに気づきました(笑)。それで、思い出の話や学校で浮いた話を強引に追加したのですが、なぜそれが必要なのかを、このプロットだけで説明し切れていないので、及第点には届いていない気がします。 - すれ違い
これは大丈夫かなと。 - 空き缶
これはさすがにないですね(苦笑)。というのも先述の通り、空き缶は妥協して入れました。ラストまで書いたところで選択肢を2つしか使っておらず、無理やり差し込んでいます。触れない空き缶(幻覚)が見えるのに香織(幻覚)が見えないという状況を作って、香織がいなくなってしまった印象を強く残す狙いがあるのですが、このプロットからはとても伝わりません。あと、明日香が香織から自立したのを示す狙いもあるのですが、こちらも以下略。そもそも「なんで空き缶は見えてるんだよ」って言われてしまいそう(笑)
話の筋としては、けっこう気に入っています。人が死ぬ話はあまり好きじゃないので、普段はこういうプロットまず作りませんが、だからこそ新鮮で楽しかったです(フィクションで人を殺すのが楽しいという畜生な発言にも聞こえますね、これ・・・苦笑)
明日香の症状は、パーキンソン症候群がモデルです。その治療薬であるL-ドーパが幻覚の副作用を引き起こす報告が散見されているのを思い出して、援用できないかなと思いました(実際には、パーキンソン症候群+L-ドーパの組み合わせがトリガーとなっている? 他の病気の治療でL-ドーパを服用しても、幻覚は確認されないみたい?)。このあたりの展開は、最近「神様になった日」を見た影響かなという気がします。
余談ですが、パーキンソン病とパーキンソン症候群は別物なので、ご注意を。
ただ、机上のロジックだけ重視してリアリティを捨てているので、かなり無理のある話になっています。ぶっちゃけますと、服薬と幻覚を絡めたギミックを思いついて、もうこれでいいや時間ないしと見切り発車しました。それによって生じた所々の無理を「自撮り」の追加設定や「空き缶」で埋めたというのが真相です。
といった具合に、多々納得できない箇所もありますが、なかなか楽しかったです。制限時間を決めてやると、想像力の修行にもなりそうなので、気が向いたら今度は使わなかった選択肢でやってみようかなと思います。
とりあえず、そんなところです。
眠いので、寝ます。