swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

ソシャゲ会社の採用担当さんに「1つだけ必須要件を挙げるとしたら?」と尋ねてみたら面白かった話。その2。

近況
  • 案の定、ちょっと太りました。
  • パソコンの熱で太ももを軽く火傷しました (笑)
  • 「零號琴」を読み終わったので、続けて「三体」を読み始めました。
  • 次作の勉強を兼ねて「魔法 − その歴史と正体」も併読し始めました。
  • もう4ヵ月ほど髪を切ってないので、いい加減なんとかしたいけど、なんともできない。耳にかかるのが鬱陶しすぎる。小学生のとき以来の坊主にしようか真剣に悩み中。

 
     *

 

前に書いた以下の記事の第2弾です。

swatanabe.hatenablog.com

今回も某社の採用担当さんに「1つだけ必須要件を挙げるとしたら、なんですか?」と聞いてみました。仮にAさんとしましょう。

 

     *

 

Aさんは1分くらい「うーん」と考え込んでから、こう答えました。

 

「・・・引き出しが多い人ですかね」

 

なるほど確かにストーリーや演出の引き出しは多いほうが良いですよね。同じ演出を使い回していては、いかに王道・テンプレといえど、飽きが来てしまいます。見せ方を変えるという手もありますが、なかなか難しいです。

・・・と思ったのですが、

 

「ああいえ。そういうことではなく。その意味でも確かに大事なんですけど」

 

どうやら違う様子。盛大に赤っ恥をかきました (笑)

で。具体的にどういう意味か聞いてみると、次のような答えが返ってきました。

 

  • 引き出しとは、有名な作品の印象的なシーンというイメージ。
  • たとえば、どんなゲームにしようか考えているとき「●●みたいなゲームにしたいね」「●●みたいなヒロインがいいなぁ」など、具体的な作品名やキャラクター名で会話することが、けっこうある。
  • このとき、その作品名やキャラクターを知らないと、いちから説明しなければならない。このコストは意外と馬鹿にならない上、そもそも正確に伝わらないので共通認識が作れない。
  • だから、チーム内でのコミュニケーションコストを下げる意味で、この引き出しが多い人のほうが良い。
  • 確かに「ストーリーや演出を単調なものにしない」という創作的な意味でも引き出しは多いほうが良いが、それ以上にチーム内で意思を統一するためという意味合いが強い。

 

     *

 

このときの会話を少々、実録。

 

「たとえば、私はワイルドアームズが大好きなんですけど、セカンドイグニッション (以下、WA2) のラストが今でもRPG史上で最高のラストバトルだと思ってるんです」

「あー。あのシーン最高ですよね。まさに王道って感じで」

「そうなんですよ。BGMも演出もセリフも、いまプレイしても涙が止まりません。涙もろくなっただけとも言いますけど (笑)」

「一人の英雄としてじゃなくて、世界のみんなと一緒にアガートラームを抜くっていうのが」

「テーマソング回収」

「麻生さんいいですよねー」

「あそこで英雄を否定するのって、かなり衝撃でしたよね」

「生贄としての英雄はいらないという。当時は、そうした英雄像をベースとしたRPGも少なかった気がします」

「Hなお姉さんが、ようやく救われたというか」

「Hなお姉さん (笑)。あのアナスタシアのセリフ、ホント涙が止まりませんでした」

「彼女は、みんなで振るうはずの剣を、一人で振るってきた」

「でも世界は、それではいけないと、ようやく気づいた」

「正直、ラスト直前までマリナのことあんま好きじゃなかったんですけど、ラストでベタ惚れしました (笑)」

「(笑)」

 

べつに載せる必要なかったんですけど、そのときのWA2トークが楽しすぎたんで、思い出を残す意味で書いておきました (笑)

要は、同じ引き出しを持っていれば、細かい説明を必要としないで、こうしたコミュニケーションが成立するわけですね。

 

     *

 

ただAさんは、こうも言ってました。

 

「このコミュニケーションが大事なのは、その内容を正しく伝えるというよりも、むしろその熱量を伝えることにあります」

 

たとえば、WA2のラストバトルを、

  • みんなで力を合わせてラスボスを倒すストーリーにする
  • テーマソングをエンディングで回収する

といった感じで構成要素に分解した上で、誰かに「これでシナリオ書いて」と頼んだとしましょう。

このとき、その人がWA2を知っていれば、おそらくこれを見ただけでもコアとなるポイントを掴み、同じような熱量のストーリーを書けるでしょう。ですが、知らなければ、そうはいかない可能性が高いです (実際なかなかうまくいかないそうです)

じゃあ、このストーリーの熱量を言語化して伝えよう・・・とは、なかなかいきません。目に見えないですし、いろんな要素が複合されているので、そもそも一概にも言えません。

だからこそ「あのゲームみたいなラストバトル」といった例えを使って、コミュニケーションを円滑かつ精度の高いものにするわけですね。

 

「もちろん言語化しようと思えばできるんでしょうけど、そこにかかる時間的なコストや精神的な負担は、相当なものになると思ってます。要は無駄が多い」

「確かに。なによりプレイした人じゃないと、実際どんなものか、やっぱりわからないですよね」

「そうなんです。だからこそ、いろんなゲームをプレイしたり、アニメやドラマを見たり、小説や漫画を読んだりしておいてほしいのはありますね」

 

ゲームでもなんでもそうですが、やはり実際にプレイしないと、こうした熱量はなかなか掴めません。いまはプレイ動画もありますが、Aさん曰く「プレイした人と、ただ見ただけの人では、どうしても話の温度感が違う」らしいです。

 

ただ、そうはいっても、引き出しを増やすのは難しいもの。まして同じ引き出しを持つのは。

Aさんもその点は当然わかっており、だから「せめて流行りものくらいは押さえておいてほしいですね」とおっしゃっていました。それが限界のようですね。

 

     *

 

というわけで、

  • 引き出しは少しでも多い
  • それによって、演出やストーリーの単調化を防げる
  • それ以上に、チーム間のコミュニケーションが円滑化する
  • それら以上に、これから作るストーリーに求められる目に見えない要素 (熱量・温度感) を共有できるのが大きい
  • ただ、現実的にはなかなかそうもいかないので、せめて流行りものくらいは押さえておいてほしい

というお話でしたとさ。

 

とりあえず、そんなところです。

眠いので、寝ます。