swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

ラノベのニーズはアマから。その調べ方とか気侭に。

(一部、18禁作品販売サイトの話をするので、18歳未満の方はブラウザバックお願いします)

仕事をはじめ何事においても、学ぶべきものはプロから、調べるべきものはアマからが基本だと思っています。学ぶべきものとは、技術・理論・知識など。調べるべきものとは、ニーズや商品/サービスの良い点・悪い点など。料理に例えると、食べたいものはアマから、それを作る技術はプロから。抽象化すれば、目的はアマから、手段はプロからといった具合でしょうか。

 

創作でデビューをめざす場合においてもこれは同様。となれば、まずなにを学ぶ/調べる必要があるのか整理するのが実力を磨くスタートかなと。よって、最初にやるべきは自分がデビューをめざす道における評価内容を調べ、それを学ぶものと調べるものにカテゴライズすることだと考えています。

新人賞からのデビューを例としましょう。まず評価内容の抽出。

  新人賞
求める作品 オリジナル作
評価者 編集者
評価内容

設定
キャラクター
ストーリー
文章力


集約すると新人賞においては、編集者の求める(=売れる)設定・キャラクター・ストーリー・文章力を満たしたオリジナル作品=受賞相当と定義できると思います。

で。上記4項目を学ぶ/調べるでカテゴライズすると、次のようになるかなと。

学ぶこと 調べること

文章力

設定
キャラクター
ストーリー


当然ですが、学ぶこと=技術は文章力だけです(小説には文章しかないので)。それ以外は文章で表現されるもの=ニーズですので、調べる対象に分類されます。言い換えれば、評価項目の大半が「調べる」に該当する以上、分析なくして受賞は叶わないと個人的には思います。

 

では、ニーズはどうやって調べるのか。やり方はいくらでもあると思いますが、どんな方法でも「一般ユーザー起点のデータ」を「大量に集めて客観性を担保する」ことが重要だと思います(例外あり。後述)

たとえば具体的な方法としては、

  1. 本屋のラノベの書棚で裏表紙を眺める
  2. 漫画雑誌の連載作のジャンルを調べる
  3. 同人系作品販売サイトのカテゴリをチェックする
  4. プレイ動画のコメントをチェックする
  5. アニメのコメントをチェックする

などが挙げられるかなと。

 

1. について。これは作品ジャンルの需要調査法です。

大きな本屋に行って、並んでいるラノベの1巻の裏表紙=あらすじをチェックします。これによってどんなジャンルが多いのか=人気なのかが大まかに掴めます。

筆者が受賞をめざしていた当時は、2〜3ヵ月ごとに近くの本屋に行っては書棚を端から眺め、携帯でgmailの下書きメールに見つけたジャンルを箇条書き。帰宅後にエクセルで集計するという作業を行っていました(なんと迷惑な客)

ここで大事なのは「本屋で集計する」という点。

作品のジャンルを集めるだけなら、出版社のホームページを覗けば十分です。ではなぜ本屋に行っていたのか。理由は、本屋には通常「売れそうな本だけ並ぶから」です。

この調査の目的は「需要のあるジャンルを調べること」。出版社からどんなジャンルが多くリリースされているかを調べることではありません。

出版社webサイトは、実際の売れ行きを加味したスクリーニングはかかっていないと思われます。よって有益な情報源にはなり得ない可能性が高いです(押し出したい作品など出版社都合が前面に出ている印象を感じます)

ただし、新人賞受賞など泊のついた作品は調査対象に含めません。泊によって並んだ可能性が高いためです。

 

2. について。これも作品ジャンルの需要調査です。

週刊/月刊少年雑誌は、巻頭カラーや前のほうに掲載されている作品は人気作であると予想できます。よって、毎週の連載作および掲載順を調べることで世間のニーズを(ある程度は)追うことができると思われます。

当時、駆け出したばかりの頃は、週刊少年ジャンプ/マガジン/サンデー、月刊少年マガジン/ガンガン/ゲッサン/ジャンプSQあたりだけ追っていました。途中から面倒臭くなって止めましたが・・・。苦笑。

 

3. について。これはキャラクターや演出の需要調査です。

以前にDLsiteの同人系アクションゲームの作品数などを調査した記事をうpしましたが、要はあれです。あのような作業を暇を見て実施していました。

DLsiteには同人作品の販売用ページがあります。で、同サイトの検索機能がマーケティングにとても便利でして、よく重宝していました。

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DLsiteの「詳細検索」より)
(R-18用語満載ですのでモザイクかけたほうがいいんでしょうが、拡大しても文字が読めないのと、R-18だと冒頭で断っているので、このままいきます)

上図がDLsiteの同人作品検索画面です。作品シチュエーション(ファンタジー/コメディ/ミリタリーなど)や外見的特徴(ショートカット/ネコミミ/貧乳など)ごとに、何作品が登録されているのかひと目でわかります。

同人作品は基本、作者が好きな要素を詰めこんで制作されると思います(販売数を前提とするサークルさんはそうでもないのでしょうが)。よって、ここに掲載されている数字は世の中の需要を(一面的とはいえ)現したものであると考えられます。

特にキャラクター(上記検索画面でいえば、外見的特徴)と演出(同、シチュエーション)において、こうしたデータは大変重宝します。ただ、もともとR-18作品販売サイトですので、そちら方面の需要しか調べられない点は注意が必要です。

 

4. について。これは演出の需要調査です。

ゲームのプレイ動画を眺めていると「ここの演出最高」などのコメントが散見されます。これを拾い集める作業です。ストーリー演出の参考ならRPG、バトルシーンの参考ならアクション系ゲーム(コンボゲーやアクションRPGなど)、ホラー演出ならホラゲーといった具合に、得たい情報によって試聴動画を変えます。

先述したDLsiteには、

  • R-18系サイトである
  • 演出のカテゴリしか調べられない

といった弱点があります。そのためキャラクター属性の需要調査などには向くのですが、戦闘シーンや熱いセリフなど「動き」がある演出の需要調査には適しません。そこをプレイ動画で補完していました。

そのため当時は毎日ニコニコ動画を見て(流して)いました(今でも1日12時間くらいつなぐ廃人ですけど。笑)。世間において人気の演出が何か知ることができるのはニコニコ動画ならではですね。

 

5. について。これも演出の需要調査です。

4. とだいたい同じため割愛。ニコニコの一挙大放送よく見てました。笑。

 

ほかにもいろいろ考えられますが、大事なのは先述のとおり「ユーザー(に近しい人たち)の声を集める」という点。

昨今は消費者の声を聞きすぎるとブランド(創作でいえば作品の方向性?)が崩壊するなど、ユーザーに近寄りすぎるのは危険という意見も見受けられます。が、鵜呑みにしなければ(御用聞きにならなければ)問題ありません。ニーズはあくまでもニーズ。それを拾うも捨てるも本人次第です。

 

やや余談ですが、少し前にtwitterで「投稿サイトは自由に書けないから新人賞に応募する人が増えている」という編集者の方の発言が何やら物議を醸していましたね。これはおそらくニーズを「鵜呑みにした」ことが不幸を生んだ結果ではないかと筆者は考えています。

ちなみに個人的には新人賞のほうが、

  • マーケティングしやすい
  • ライバルが(相対的に)少ない
  • 作品が評価者に必ず届く
  • 地力向上の効率化

などメリットが多いので、デビューを狙うなら新人賞のほうがやりやすいと思っていました(今でも思っています)。新人賞のほうが自由に書けるかどうかは「デビューを狙う上での作品」という前提であれば正しいかなと。「楽しむ上での作品」を書くなら真逆だと思いますが。

 

さて。最後に残していた話を一つ。先に「一般ユーザー起点のデータ」を「大量に集めて客観性を担保する」ことが重要と書きましたが、この例外についてです。

ニーズには顕在化しているものとは別に、潜在的なものがあります。ここまでの話は前者の話で、例外に該当するのが後者です。

で。この潜在的なニーズには厄介な点が2つあります。

  • 恥ずかしくて口にできないなど、何らかの理由で表に出てきにくい
  • 顕在化したニーズより強い力を持っている

要は、後者の理由から本来押さえるべきニーズはこちらなのですが、前者の理由から把握するのがなかなか困難である、というわけです(ネットは匿名で投稿し放題のため、それでも把握しやすいほうではありますが)

では、潜在的なニーズとはなにか。わかりやすいのはフェチですね。自分においフェチですとかなかなか口にする人いないと思いますけど、意外と多いのではないかと思います。抑圧された感情であるため、そのぶん強い力を持っているとも思います。

この手の潜在的なニーズは細分化されたものであるため、数よりは発見できるかどうかが肝。数人に話を聞いてみて「あーあるある!」となれば、おそらく結構な人数がいる=需要があると見ていいかなと。同人誌の奥付とか眺めているとこの手の情報が意外と拾えるので、その意味でも同人系作品は情報の宝庫だなと思います。