swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

換算表現としての東京ドームは伝わるのか

仕事中に「ここの広さは約50ヘクタールで、東京ドーム11個ぶんもあります」的な表現を耳にしました。広さをわかりやすくする手段としてよく使われる換算表現ですね。

ですが、筆者は東京ドームに行ったことがなく、また1個ぶんの広さを知らないので、正直あまりピンときませんでした。

行ったことがある方なら、あるいは11個ぶんの広さを実感できるのかもしれません。ただ個人的には、この「東京ドーム何個分」という換算表現に広さの具体的なイメージを伝える効果があるのか、ちょっと懐疑的です。

 

 

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そもそも論なのですが、この「東京ドーム何個分」という換算表現は、次のどの目的で使われているのかなぁと不思議に思っています。

  1. 「すげー広い!」という印象を伝えるため
  2. 「そのくらいの広さね」と具体的にイメージできるようにするため
  3. その他

筆者はもともと2の用途で使われているものだと思っていたのですが、最近1の用途 (だけ) を意図して使われているケースも少なくないのかなぁと思うようになりました。

ただ、1が目的だとしても、そのためには2が満たされなければならないので (ピンとこなければ「すげー!」のかわからない)、いずれにしろ2を念頭に置いて使う換算表現を選ぶ必要があると思うのです。

その上で「東京ドーム何個分」を考えると、これを見た人の多くで2を満たさないのではないかなと勝手に思っています。行ったことある人でも、1個ぶんならイメージできる (ピンとくる) と思いますが、11個ぶんはさすがに難しいんじゃないかなと。

 

あと「何個分」という換算表現は、個数がとんでもなく大きくないと、あんまり効果的ではない気もします。東京ドーム100個ぶんとか。要は「もうどのくらい広いのかわからないけど、とんでもなく広いことだけはわかる」というレベルで使って初めて「すげー!」になる=先の2を無視して1だけを満たせるんじゃないかと。

 

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広さを置換する場合、個人的には都道府県や自治体を使っています。「東京都と大阪府を足した広さ」「世田谷区ぐらい」のような。

理由としては、都道府県なら平面地図で全体像がつかめているので、他のものよりも具体的な広さをイメージしやすいと思われるからです。住んだことはなくても、東京や大阪がどのくらいの大きさか、だいたいの人はわかるのではないかなと。

 

都道府県だと大きすぎる場合は、自治体を使います。世田谷などメジャーな自治体。

こちらの場合、世田谷の具体的な広さが伝わらない=東京ドーム何個分と同じ難点に陥る可能性が高いです。ただ、自分の住んでいる自治体との比較を取れるので、わかる人にはわかるかなと。要は「世田谷はまさかうちより小さくないだろ」→「うちでもこれだけ広い」→「それより広いであろう世田谷と同じってことは相当だな」といった思考プロセスを踏むことで、広さを具体的にイメージしていただけるかなというわけです。

もちろん、そうしたプロセスを踏む前提な時点で、どう考えても換算表現として不適切なわけですが、現状これ以上の良い表現を思いつかないので、もしあればぜひ教えていただきたいです。

 

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適切な換算表現には「身近さ」と「わかりやすさ」が不可欠だと思っています。一例を挙げてみましょう。

 

以前、ある歯科医院の先生に、レントゲンの被ばく量について伺ったことがあります。

レントゲンには9枚法、10枚法、12枚法、14枚法とかいろいろあるのですが、枚数を撮れば撮るほど、患者さんの被ばく量は増えます。この点を気にされる患者さんは、やっぱり多いそうです。

そんなとき、先生はいつも「真夏の1日の外出で浴びるのと同じくらいの放射線量」のように説明しているそうです。

これ、換算表現として見事だと思うんですよね。夏場の外出は誰もが毎年やっていることですから「身近」ですし、それで浴びるだけの放射線量に問題がないことは身をもって知っている、つまり安全な放射線量であることが「分かりやすい」わけです。

実際、先生は「こう言うと、ほとんどの患者さんの不安を取り除ける」とおっしゃっていました。
 

余談ですが、広島県三次市が毎月、自然放射線の量を測定されていたので拝見してみると、2019年8月は【 0.110〜0.168マイクロシーベルト毎時 】だったそうです。

 

www.city.miyoshi.hiroshima.jp

 

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なにはともあれ、単に常套句だからと思考停止して「東京ドーム何個分」という表現を使わないように気をつけないとなぁと思う次第です。そのかわりの良い表現がなくて、困っているわけですが。

わかりやすく、かつ受け手にとって身近なものでたとえる。基本中の基本ですけど難しいですね。

 

とりあえず、そんなところです。

眠いので、寝ます。