swatanabe’s diary

ラノベ創作、ゲーム、アニメ、仕事の話など。仕事はwebメディアの仕組み作り・アライアンスなど。

青春ものラノベにおけるキャラクター心理の演出についての備忘

2016年以来のリハビリ第1作、ただいま某新人賞にて三次選考中とのお知らせをgoogleアラートに教えていただきました。仕事やら副業やらで忙しく、応募したことすら完全に失念していました。苦笑。

とりあえず今はいろいろ忙しいので、また失念するくらい気にせず、気楽に結果を待ちたいと思います。

 

で。ちょっと個人的に書き残しておきたかったことでも。

 

2013〜2016のニート期の応募作は、すべてファンタジーだったのですが、今回は初めて青春もので応募しました。定番のラブコメではなく、ごく普通の青春ものです。Vtuberとか流行りの尖った設定もない、本当に普通の、ある夢を追う高校生たちの物語(ひとり普通じゃない子いますけど)。加えて、前半こそワイワイガヤガヤしてますが、後半は人間の負の要素、心の汚い部分を存分に詰め込んだので、とても胸糞悪い作品になってます。笑(最後はいちおうハッピーですが)

 

で。これが実はちょっとしたチャレンジでした。

というのも、青春ものは苦手でして。何でもない日常をいかに魅力的に見せるかが勝負なわけですが、そこに対する感覚やハウツーがなかったので。正確には磨こうとしてこなかったのですが、そのためか、過去作のレビューでは「キャラクターの関係性」が穴だと指摘されることも多くありました。今回はそれを克服するために、あえて青春ものに挑んでみた、そんな感じです。

そんな背景があったので、今作は書く前に「どんな展開がいいのか」いろいろ細かく設計しました。今回の作品が三次まで進んだのは、そのあたりの自分なりの仮説が多少なり正しいと証明された、足りなかったものが一定は補われた結果なので(そうだと思いたい。笑)、けっこう嬉しいです。

 

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(当時のメモの一部。キャラクター心理の振幅を軸にしたストーリー設計の全体像)

 

中でも肝として考えていたのは、キャラクター心理の振幅を、違和感なく・段階的に演出する構成。

今作はストーリーよりキャラクターの関係性に重きを置いた作品にしました。そうした理由は、

  • それを克服することが目的の作品だったため
  • 青春=日常で起こる出来事は、それ自体に大きなインパクトがなく、むしろその積み重ねが物語になるため

先にも書いたように、青春における物語性は、ストーリーにおけるイベント性よりキャラクター心理。べつに非日常的なイベント(ex. 高嶺の花から告白される、大切な人が交通事故に遭う)をバンバン起こしても良いんでしょうが、個人的にそれはもはや青春ではないと思っているので、今回は採用しませんでした(リアルじゃないので)

 

で。そのとき考えていたことを、箇条書き程度にメモしておきたいと思います。

 

キャラクター心理を演出する方法

縦軸と横軸があります。

  • 縦軸:個々のキャラクター心理の振幅
  • 横軸:他のキャラクターとの関係性

前者だけだとキャラクター同士の関係性が見えなくなるので「この人なんでいるの?」というキャラクターが出かねない一方、後者だけだと心理が掘り下げられていないため「主人公がヒロインに惚れる理由がわからん」などといったことにも。というわけで、バランスが大切になると思います。

 

非日常的なイベントは起こさない

青春に非日常はないため。

ただ、キャラクターの関係性はそれでも特に問題ありませんが、キャラクター心理の振幅においてはこれがけっこう厄介。というのも、

  • イベントの大きさでキャラクター心理の大小を代弁できない
  • 日常の様々なイベントで人の心がどう上下するのか把握しなければならない

から。

非日常的なイベントなども自由に織り込める場合、この大きさをイベントの規模感や非日常性に代弁させられます(ある程度ですが)。しかし青春ものでは、日常的なイベントで人の心がどう揺れ動くのか考えなければいけません。

 

人間のリアルな感情の機微を理解する

言い換えれば、自分の用意した世界観における色々な出来事において、キャラクターたちの心理は、どのように、どのくらい上下するのか知っておく必要があります。

これを想像で補うのも一手ではありますが、それではリアリティが失われます。そのため現実の日常シーンにおける感情の機微を理解しておかなければいけません。つまりある程度は多様な人生経験を積んでおく必要があります。

 

ストーリー構成の基本は「上げる→落とす→上げる」

たとえば恋愛なら

  • 上げる:告白が成功する→デートが楽しい→さらに踏み込む(キスをするなど)
  • 落とす:パートナーがよそよそしくなる→別れを告げられる
  • 上げる:復縁する→今まででいちばん楽しいイベント

といったイメージ。

 

感情の振幅は段階的に表現する

ショックなど負の感情は、一気に落胆しても問題ないとは思いますが、楽しい・嬉しいなどの正の感情は、少しずつ段階的に表現したほうが良い気がします。そのほうがリアルなので。

また負の感情に関しても、一気に落としはしても、そのあとに「ひきずる」シーンがないと個人的には違和感があります。

よって、明確に上げる/落とすシーン→それらが日常にどんな影響を及ぼしているのか明確化するシーン、といった感じの構成が良さそうだなと。

たとえば、パートナーと別れた後、そのショックから歩くこともままならず、怖い人にぶつかってしまってフルボッコにされる的な。このワンシーンの挿入によって、日常的な所作すらまともに取れなくなっているということが分かり、ショックの大きさがリアルに伝わってきます。

 

落ちた状態からの再浮上には意外性を

落として、再び上げる必要がありますが、このとき復調のきっかけとなるイベントには意外性があったほうが良いと考えています。

よくあるのが、幼馴染な位置づけのサブヒロインが、失恋に打ち拉がれる主人公を助けてくれる的な展開でしょうか。主人公がヒロインに告白し、でもなんやかんやあって別れてしまう。そんなショックでボロボロの彼のところへ、実は彼のことが好きな幼馴染ヒロインが現れ、自分の気持ちを押し殺して彼の助けになろうとする、的な。

またこの場合、そこまでに「幼馴染ヒロインは、主人公がヒロインの話をするたびにムカついている」などのシーンがあると良い気がします。再浮上で登場するときにギャップを演出できるので(個人的にそうした展開は好きではないので、やりませんが)

 

再浮上後に最大の盛り上がりを

再浮上シーン自体は解決フェーズのため、物語が全体的に落ち着いてしまいます。そのためクライマックスにはなり得ませんし、そこで終わってしまうと尻切れトンボ感が強まります(少なくとも個人的にはそう感じます)。よって、その後に最大の感動など、いちばん大きな展開を持ってきます。別れた彼女とよりを戻すのが最後ではなく、その後に彼女を連れてどこかへ行って最大の感動を共有するなど。

 

地の文の視点を切り替えすぎない

心理は内面のため、その振幅を伝えるには基本、地の文の視点を当該キャラクターに寄せる必要があります。ただ視点を切り替えすぎると、読者が疲れますし、ストーリーが見えにくく(覚えにくく)なります。

基本、2人が限界かなと考えています。せいぜい2人+神の視点の3視点。

 

文章力を磨く

地味なシーンや心理描写が増えるので、それでも読者を惹きつける文章力が求められると思っています。特に心理描写。各シーンごとのショックの大きさがどう違うのか書き分けるなど、けっこうな文章力が必要になると思います。

言い換えれば、人がある出来事にぶつかったとき、どんな感情を、どのくらい感得するのか、結果どのような行動に出るのか、このあたりを自ら(疑似)体験して学ばないといけません。創作力だけでなく、幅広い人生経験も大切ですね。

 

とりあえず思いつくのはこんなところです。

たぶんあとで書き直します。

 

眠いので、寝ます。